韓国から戻りました

冷静に考えたら実はまだ社員な訳で、家から歩いて10分の本社ビルには、インターネットと冷房完備のオープンスペースが山のようにあり、使い放題なのだった。前の同僚に呼び出されて行ってみたら、彼らはそこでのんびりMTGという名の雑談をしている最中だった。

韓国から帰ってきた。今回はマイカーで韓国ということで、東京から下関、そしてフェリーで釜山に渡ってソウルまでという旅。FIAT 500で行って来たのだけど、なかなかよく走ってくれた。韓国ではFIATのディーラーもないようで、日本のナンバーに謎の車という、かなりレアな存在になっていた。
写真は韓国のパーキングエリア。

韓国も最初に行ってからもう10年ほどになる。当時と比べ、ウォン建ての物価でいうとずいぶんと値段が上がった気がするが、レートは円が急激に切り上がった。韓国はまだ金利も高く、経済も全体的に成長を前提にしているように見えるが、日本はその逆で、経済成長を求めるよりは、全体的に国民という枠で、既得権益を保っていればよい・・というような方向性に見える。

ちょうど7月から5万ウォン札も流通し、やたらとかさばる財布というイメージも過去になりつつある。社会インフラのベースは概ねアメリカに近いが、一部にあった日本のイメージが消えてゆき、どこでもないコスモポリタンなアジアな国という印象も強くなった。

以前の千ウォン、1万ウォンはどことなく日本的だったが、現在の新札は軒並みユーロ紙幣のような感じがする。また、自動車のナンバープレートも、以前は「ソウルXX あXXXX」でサイズも日本に近かったものが、新しいものは横長のヨーロッパタイプも選べるようになったらしい。

ソウルの地下鉄も紙ベースの切符は全廃されて、デポジットを含んだICカードベースのものになっている。こういうものは都市国家というか、まあシンガポールとか香港あたりの導入が早いのだけど、韓国もなかなかのスピードであることは間違いない。

日本はちょっとその辺がどんくさいというか、正直変わったなというのはラッピングバスくらいなのだけども、もういい加減ナンバーの形とか変えてもいいんじゃないかなあとも思う。まあこういう話は比較的人口規模に比例して余計な調整が増えるような所もあるので、なかなか面倒なのだろうけども。

グウタラな市民社会

檀一雄の「火宅の人」下巻半分くらいまで読む。


一昔前の小説を読むと、作家はさも当然のようにホテルに長逗留とか、新聞社あたりの金で何ヶ月も外遊という生活をしているのが、実にうらやましい。檀一雄も全く同様で、家は3カ所4カ所、妾をかこって山の上ホテルで同棲などとなかなか豪勢だ。

ちょうど月の収入額が小説に書かれていたのだが、月50-60万から120-130万程度だという。昭和35年ごろの数字では国家公務員の初任給が12,000円程度らしいので、今の額では月に1,000-2,160万といった所。
12本の連載を抱える・・とかなり仕事も多い方のようだが、収入は一握りのプロ野球選手レベルにも達していたようだ。

当時の作家の地位が社会的にかなり高かったりと諸々あるのだろうが、日本の近代小説は極貧と金満の両極端のような印象で、まあ社会が金持ちと貧乏人に明確に分化していたこともあるのだろうけども、現代人としてはどうも納得感のない作品が多い。

海外旅行なんかも実にそうで、なんか偉い剣幕で様々な人が羽田まで見送りにきて洋行とかいうようなうらやましい光景が描かれる。
自分など成田で見送られた記憶などろくになく、パスポートを口にくわえながらセキュリティチェックに向けてのベルトを引き抜いてズボンをずらしながら歩く・・というあまりにも貧相な出発なのが現在だ。


典型的な大衆化であることは間違いない。その気があれば海外など概ね行けるようになった。今や死語の「女中」がいなくても快適な生活は現代にあるのだろう。とはいえ、贅沢というのは最後は人を使うとか古典的な形の方が腑に落ちるようなところもあるわけで、うーんと唸ってしまうのだ。

そして、壇家のご子息ご令嬢は父の多趣味、食通の薫陶を受け、みんなエッセイストやCMプランナー、そして芸能人の檀ふみとか、分かりやすくこう・・優れた環境が遺伝しているというか、どこが火宅なんだよという感じが見事だ。


今日は都議選だったね。

私はグウタラな市民社会の、安穏と、虚偽を願わないのである  檀一雄

IMのなかのあの人

会社を辞めるとちょっとIMが立ち上げにくいような気分になるのだけど、久しぶりにふと立ち上げてみたら、リストに入っていた前の彼女の姓が変わっていた。

さて、会社員を辞めたあとは税金がどかっと掛かってくる。収入がなくなってちょっと経ち、ああなんとか暮らせそうかもと思い出す頃に会社員時代の収入で税額が降ってくるから、二重にも三重にもやってられない気分になるものだ。

同時に辞めた同僚は個人事業主になるという。まあ仕事の当てもあまりないが、とりあえず自分も個人事業主になっておこうかと思う。会社設立も考えたが、どう考えても赤字になるような状態では、会社登記と最低限の法人税で20万ほどが飛んで行くことも含めてあまりメリットもない。
失業保険は退職日から1年間の間に受け取ればよい。個人事業主はどこかで廃業し、失業保険に切り替える手もあるだろう。

個人事業主青色申告を行い、65万の控除を受けるのがもっとも手っ取り早そうだ。税務署に行って、個人事業主開業と、青色申告をしますという書類を出してこよう。

と、分かったかのように書いているが、立ち読みした以下の2冊からの付け焼き刃知識だ。
毎回思うが、こういう実用書は節約のため読むものだし、数千円を出すというのもしゃくに触る。多少覚えてネットで検索して、なんとなく勝った気分になるのが精神衛生上よい。

「無税」入門―私の「無税人生」を完全公開しよう ダンゼン得する 個人事業者のための会社のつくり方がよくわかる本

ぼんやりとしたタスク

仕事をしなくなったと言えども、何となくあの人と会おうとか数ヶ月後までにやらなくては、ということも多い。タスクリストでも作って管理した方がいい気がするなあ。

今日は車の一ヶ月点検にディーラーへ。江古田の街は面白い。学生街だからか、BookOffもきちんと目利きがいるらしく、棚の作りがなかなかのレベル。江古田、高田馬場あたりの店舗はグループらしく、袋に同梱されたチラシには「きれいさだけで値段を決めてません」といった、ある意味BookOffの否定とも取れるようなことが書いてあった。

それにしてもここのところ本から遠ざかっている。昨日かなり前の職場の人何人かで会ったが、とにかく本を読むような人が口々に「最近本の量は減ったなあ」と言っていた。ということで新書3冊、100円棚から選んできた。

無職日記スタート

退職しましたメールの宛先には、取引先の気になる女の人とかを入れておこう。返事が来るかどうか、ドキドキしながらメールボックスを開けるのも悪くない。

それにしても、今回出した「退職しましたメール」が今までの同種メールで最もつまらないというか、自分の中でひねりが利いていないものだったのは間違いない。やはり余裕がない仕事はよくないなぁと思う。

FedExの荷物受け取りに南砂町へ出向き、昼から東京医科歯科大で抜歯の手術。縫合した糸の感触が口の中で妙な感じだ。

小向ライブの日

世界のどこかの国では食い物がなかったりミサイルが飛んできたりすることが重大な死因(あるいは幸/不幸の分かれ目)になるわけだけども、高度に経済や医療や文化が発達して比較的平和な日本では、あしたアニメが放送されなかったり恋人がなかなかできなかったり会社や学校で人間関係がうまくいかなかったりすることが重大な死因(あるいは幸/不幸の分かれ目)になるつーことが感覚的に理解できていれば、日本人にとっての「世界をよりよくするための知識」ってのもわかるはずだとおもうんだけども。

http://d.hatena.ne.jp/strange/20090605#p2

産経は最近こうした殺人事件の裁判記録を詳しく報じる(下)。これほど長い文章は新聞紙だと難しいがウェブなら大丈夫ということで、まさに特性が生かされている。それにだいいち、こうしたことは詳しければ詳しいほどより正確に理解できる。というか、通常マスメディアが報じている分量のほうが、あまりに少なすぎるのだ。産経のこの方式は今後支持されて普及するように思う。

ただ、それでも言っておきたいのは、「私がこれほど詳しく知りたいニュースって他には何もなかったんだっけ?」ということだ。そしてまた、報じるほうも読むほうも日々費やすことのできるリソースは限られている、ということだ。

私は、たとえば阿久津市の市長と市役所職員それぞれの言い分のほうが、金川被告の言い分よりはもっと知りたい。イラクアフガニスタンパキスタンの爆弾攻撃の実行者が、敵をシマウマのようなものだと思っているのかどうかについても、これほど詳しくは無理だとしてもほんの少しくらいは知りたいと、常に思っている。

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20090603#p1